Salut ! こんにちは!
フランスの薬物注射室 (salle de shoot) というのを聞いたことがありますか?
私がフランス語学校に通っていた時に、ある日のディベートのトピックがこの薬物注射室 (salle de shoot)に賛成か反対かというものでした。日本に住んでいたら、薬物に触れる機会なんてほとんどないと思うのでなぜこんな施設があるのか疑問に思うかもしれませんが、フランスを含めヨーロッパでは薬物使用者が信じられないほど多いのです。
今回は、薬物注射室とは何かやその目的、懸念点に関してご紹介します。
薬物注射室 (salle de shoot) とは?
薬物中毒者に、無料で注射器と専門家のアドバイスを提供する政府公認の施設のことです。薬物は提供されていません。低リスク消費室 (salle de consommation à moindre risque)とも言われています。
一番最初は1986年にスイスのベルン(Berne)で設置され、その後スペイン、ドイツ、ルクセンブルク、デンマーク、オランダ、ノルウェー、カナダ、オーストラリアにも設置されました。
フランスでは、一番初めは2016年にパリの10区にあるGare du Nord近くの Lariboisière病院の建物内に設置されました。1日の利用者は200名近く。
その後、2019年にストラスブールでも薬物注射室は設置されました。1日の利用者は50名ほど。ストラスブールでは、2020年に薬物中毒者のための宿泊施設も開設しました。対象者は、適応能力が欠如している方や医学的モニタリングを必要とする症状を発症している方です。
薬物注射室の目的は?
薬物の過剰摂取による死亡者を減らすことと不衛生な注射器を使用することによるウイルス性肝炎やHIVのリスクを減らすことを目的としています。
また、薬物中毒者を医師などの専門家に会わせることで、薬物使用を徐々に減らしていき、薬物依存から抜け出す手助けをするという目的もあります。
薬物注射室を設置する懸念点
パリでは、薬物注射室の設置に近隣住民の半数が反対だったそうです。
⒈ 薬物注射室を設置すると、薬物中毒者がこの辺りに集まり治安が悪くなる。
⒉ 薬物や薬物中毒者が子どもの目に触れる機会が増える。
⒊ 薬物注射室のせいで、不動産の価値が下がる。
⒋ 薬物注射室が安全な環境を提供することで、薬物使用を促進してしまう。
住民の間では、このような懸念点が挙がりました。
しかし、パリとストラスブールで薬物注射室を設置後、薬物中毒者の薬物過剰摂取や感染のリスクを大幅に減らしたという良い結果が出ています。
最後に
今後さらにフランス国内で薬物注射室を増やそうとすると、常に近隣住民の反対に合うと思いますが、薬物の問題を少しでも改善していくためには、このような対策を住民が受け入れていくことが必要になります。
私も初めパリの薬物注射室の存在を知ったときは、私が住んでいる地域にできたら怖いし嫌だなと思っていました。でも、実際私の住んでいるストラスブールにすでに薬物注射室が存在していました。全然気づかなかったですが。パリと比べると、薬物中毒者の人数や問題行動が少ないからでしょうか。
簡単に薬物へアクセスできてしまう環境に住んでいて薬物中毒になるリスクが高いからこそ、このような薬物中毒者への支援施設はもっと増やしてもいいのではないかなと私は思います。薬物を使わないことが一番ですが。
あなたはどう思いますか?
Comments
薬物注射室でかかる費用は税金から出てるってこと、、?だとしたら、私が住民だったら反対だな〜!
そもそも麻薬の使用を規制するところには力を入れてないの、、?
税金からなのかな?わかんない。
麻薬中毒者は、社会のゴミだと思っている人が多いかもしれないけど、1病人として周りの人も扱わないとこれからも増えていく気がする。
中毒になったらやめたくでもやめられないから、こういう専門家がいる場所が必要なんじゃないかな。
麻薬の使用はもちろん違法だよ。でも、違法でもやる人はやるんだよね、どこの国でも。
そういうことが身近で起きてないから(気づいてないだけかもしれないけど)、考えたことなかったなぁ。
でも結果が出てるのはすごいね!患者数も想像以上に多いし、必要としてる人が大勢いるんだね。
日本では身近に中毒者なんていないし、私たちの目につくところにいないもんね。
ヨーロッパは、特に中毒者が多いからこんな対策打たないといけないんだよね。
やっぱり日本って安全!